プラケニルの副作用による網膜症
全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患で「全身性エリテマトーデス/SLE」というものがあります。
このSLE患者さんが使用しているプラケニル®というお薬の副作用として、クロロキン網膜症が注目されています。
服用されている方は、定期的な検査が必要です。
プラケニル®とは
もともとはマラリアの薬で、日本では2015年から全身性エリテマトーデス(SLE)や皮膚エリテマトーデス(CLE)のお薬として使われています。
※ プラケニル®は別名、ヒドロキシクロロキン塩酸塩(一般名)といいます。
眼底(目の奥)の内側には、薄い膜状の網膜という組織が広がっています。網膜の中心の黄色い部分を黄斑といいます。黄斑は、網膜の中でもっとも解像度がよく、見ているものの形や色彩をはっきり見分けることができる場所です。
ヒドロキシクロロキン網膜症とは
プラケニル®の副作用によって、目が見えにくくなってしまうことがあります。これをヒドロキシクロロキン網膜症といいます。
ヒドロキシクロロキン網膜症の症状
黄斑部の網膜が薄くなり、
- 視野(見えている範囲)がかける
- 色がわかりにくくなる
- 進行すると、視力がおちる
といった症状が懸念されます。
眼科受診のタイミング
プラケニル®を飲み始める前に、眼科での検査が必要です。
また、プラケニル®を飲みはじめた後は1年に1回の定期検診、そしてヒドロキシクロロキン網膜症のリスクが高い場合は、よりこまめな検査が推奨されます。
発症リスクが高い方
- お薬をのんでいる量の総量が一定の量(200 g)をこえた方
- 腎機能障害、肝機能障害がある方
- プラケニル®をのみはじめる前から視力障害がある方
- プラケニル®をのみはじめた後から、眼科検査(OCTなど)で異常が出てきた方
- SLE網膜症のある方
- 高齢の方
毎回、同じ眼科で検査を受けることで、プラケニル®をのみはじめる前の結果と比較することができます。
検査項目
ヒドロキシクロロキン網膜症は早期発見が大切です。
プラケニル®をのみはじめた後に、視力が下がってきたり、色覚に異常が出た場合は、プラケニル®を中止する必要があります。
何も症状が出ていないのに、たくさんの検査を受けるのは大変だとは思いますが、今見えているご自分の眼を大切にするために、眼科で検診を受けてください。
早期発見のために、必須とされている検査は以下の通りです。
- 視力検査
- 眼圧測定
→眼の玉のかたさをはかる検査です。プラケニル®ではなく、ステロイドの副作用を確認します。 - 細隙灯顕微鏡検査
→眼の前の方の診察を行います。 - 眼底検査
→眼底の網膜の写真撮影、診察を行います。 - 視野検査
→見える範囲に見づらい場所がないかを検査します。 - OCT(光干渉断層計)
→眼底の断面写真、網膜の厚みをはかります。 - 色覚検査
→色の検査をします。